E6) Beginner's Guide
『ビギナーズガイド』

1989

Edited by Yamamoto Planning
ヤマモト企画編


Shinozuka, Yoji “Holmes and Moriarty ? Psychological Analysis” 篠塚洋治「ホームズとモリアティー その心理学的な分析」 32-33p
The author gives thought that Moriarty was not a real character but a being created by Holmes’s unconscious mind, a “shadow” in Jungian psychology.
モリアティーは、ホームズとはまったく異なった人格ではなくて、ホームズの無意識世界が生み出した存在、ユングのいうところの影であると考察。正典「最後の事件」から、ホームズに内在した影としての絶対悪が、ホームズ自身の意識世界の中心である自我によって押さえられなくなって、モリアティーという人格をもって意識世界のホームズに反抗しだしたと見ることができる、と結論する。
  Sherlock Holmes-Personality, Professor Moriarty


Suzuki, Toshio “James, Three Brothers of Moriarty Family” 鈴木利男「ジェイムズ=モリアーティー家の三人兄弟」 35-39p
The author introduces David Skene Melvin’s theory that James Moriarty is a compound surname and that the first names of Moriarty and his two brothers are unknown. He also speculates the brothers are either elder or younger.
モリアーティー三人兄弟の内、兄のモリアーティー大佐と教授本人が、ジェイムズという同じ名前を持っていることについて考察。ザ・ベイカー・ストリート・ジャーナルのスキーン=メルヴィンの論文から、姓が二つの語を結合した複合姓の可能性を指摘し、ジェイムズとモリアーティーの二つの姓を組み合わせたアイルランド系家族の複合姓が有り得ることから、三人兄弟はジェイムズ=モリアーティーという同じ複合姓を持っていた、と結論する。
  Professor Moriarty



Horie, Tamaki “A Study in Infidelity in Holmes Stories” 堀江珠喜「ホームズ不倫大研究」 81-94p
The author discusses the love affairs of married women in the Canon. Such scandals were common in the Victorian era when manners and morals were strict.
19世紀末の、特にロンドンの社交界でのイギリスの人妻の恋について考察する。礼儀・道徳のやかましかったヴィクトリア朝であっても現代と変わらぬ不倫スキャンダルを、正典の事件のエピソードを引き合いにしながら検証する。
  Women


Kajita, Masato “On the Apocrypha of Holmes Stories” 梶田正人「ホームズ外伝について」 96-97p
The author points out the part of the article on London Times that appears in “Lost Special” has resemblance with the phrase Holmes said in BRUC, and presumes the author of the article was Sherlock Holmes.
コナン・ドイル作『消えた臨急』に出てくる1890年7月3日のロンドン・タイムズの署名入り記事の一部不可能なる部分を除去すれば、残余はたとえそれが如何に荒唐無稽に見えようとも、その中にこそ真相があるのだ−というのは実証的推理における初歩的原理の一つである≠ニいう文章が、「ブルース・パーティントン設計書」の有名な一文とほぼ似ていることについて考察。論旨、時期、その独特の言い回しから、新聞記事の署名者はシャーロック・ホームズだと推定する。
  The Apocrypha





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