ホームズの世界
The World of Holmes 
No.40



Nitta, Kunihiko “A Discussion About Suspense in Sherlock Holmes Stories” 新田邦彦「シャーロック・ホームズ物語におけるサスペンスの一考察」 WH No.40 (2017),16-21p
The author analyzes Sherlock Holmes stories as suspense fictions. He points out Holmes stories contain suspenseful elements such as involved heroes/heroines, traps, thrills and so on.
サスペンスとは、人間の恐怖や心の不安を克明に描いたものであると指摘する。ホームズ物語にはサスペンスに必須の、知性的な謎の提出、事件に巻き込まれるヒロイン・ヒーロー、罠仕掛け、読者の予感と不安、スリルからの感情移入等が満載であり、故にサスペンス性も十分である、と結論する。
  Sherlock Holmes-General & Miscellaneous


Suzuki, Toshio “Skin Color of the Half-white and Half-black person” 鈴木利男「黒白混血児の皮膚の色 「黄色い顔」事件の黄色の謎:Part2」 WH No.40 (2017),22-34p
A supplement to the author’s study published in WH38 about YELL. He presents another theory that Lucy was a real child of Effie who was mixed breed, and Lucy’s dark skin color was caused by atavism.
コナン・ドイルが「黄色い顔」を執筆した1892年ごろの遺伝理論は、『混合遺伝説』が支配的であったことを指摘する。著者はホームズの世界No.38のpart1では『ルーシー養子説』を主張したが、今回は『ルーシー実子説(エフィーについて混血説)』を主張。併せてpart1での『ルーシー養子説』に、『ヘブロンの連れ子説』と『ヘブロンの先妻の連れ子説』を追加して合計4説を提示する。
  YELL


Endo, Takahiko “You Have Been to Engelberg, I Perceive.” 遠藤尚彦「エンゲルベルクに行っておられましたね」 WH No.40 (2017),35-46p
The author takes notes of Engelberg that appears in Conan Doyle’s poetry “An Alpine Walk”, and assumes the route Doyle took in Switzerland in 1893. He presents his theory that Holmes went through Engelberg when he left Reihenbach for Florence.
著者は1893年12月にコナン・ドイルが発表した詩“An Alpine Walk”に登場するEngelbergという地名に着目する。この村はMeiringenから約20kmに位置し、歩いて行けるルートがあることからReichenbachの滝での対決後、直ちにイタリアヘの国境越えを目指したとするのは先入観に囚われた考えではないか、と指摘する。地図で確認すると、徒歩で逃げるホームズの選択肢としてはMeiringen周辺から北~北東側へ向かうコースが多く、1891年版のベデカー『スイス』の記事からは、Engelbergには当時三方向からアクセスできるルートが有ったことが記されているので、ホームズはまずEngelbergへ向かったのではないかと推測する。
  The Literary Agent, FINA

Akeyama, Ichiro “Sherlock Holmes and Misdirections” 明山一郎「シャーロック・ホームズとミスディレクション」 WH No.40 (2017),56-63p
The author explains misdirections using several examples, and indicates red herrings i.e. misdirections in the Canon appears in the stories whose titles contain “red”.
著者はmisdirection [誤った指導]とred herring [注意を逸らすもの]について詳述すると共に、ホームズ物語にもred herringが登場する作品が幾つかあることを指摘し、ホームズ物語で注意を逸らすものは[赤]なのだ、と結論する。
  General & Miscellaneous

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Takahashi, Toshiko “Bande Dessinee of Sherlock Holmes” 高橋登志子「シャーロック・ホームズのバンドデシネ 第1回 聖典、語られざる事件」 WH No.40 (2017),64-71p
The author introduces Sherlock Holmes Bande Dessinee, comic stories in France and Belgium with those of STUD, HOUN and an untold story as examples.
バンドデシネとは、フランス・ベルギーを中心とした地域の漫画のことで日本の漫画との最大の違いは、サイズがA4くらいの大判ハードカバーで、全ページがカラーで絵画的であること、ストーリーと作画が分業制であることを詳述する。具体的な作品として聖典の「緋色の研究」、「バスカヴィル家の犬」と、語られざる事件「スマトラの大ネズミ」を実物の写真を用いて紹介する。
    Europe-France, Parodies and Pastiches


Miyamoto, Keiji “The Bruce-Partington Plans” 宮元啓至「THE BRUCE-PARTINGTON PLANS 計画の潜水艦設計図は存在しない」 WH No.40 (2017),72-78p
The author concludes the plan for the submarine in BRUC did not actually exist with the following reasons: The construction of submarines was impossible with the technology and the shipbuilding section at Woolwich Dockyard was already closed at that time, and it was unnatural Microft visited the personal residence to discuss the government secret.
1869年ウリッジ工廠からチャタム工廠へ造船部門が移転統合され、1895年の事件発生時にはウリッジ工廠に造船設備は無かったこと、当時の技術水準では該当する性能の潜水艦は未だ建造出来ないことを論証する。故に、計画の具体的な潜水艦設計図は未だ存在せず、盗まれたのは要求仕様書だった可能性を指摘すると共に、事件の真相はマイクロフトの別の秘密計画を偽装する為だったと結論する。
  BRUC


Watanabe, Mineki “Sailing Cruise in the Mediterranean Sea” 渡辺峯樹「地中海のヨット船旅について」 WH No.40 (2017),79-91p
The author explains a brief story and examples of the sailing cruise in Great Britain, and suggests the cruise Baron Gruner took. He also presumes the route Sherlock Holmes took when he crossed the Mediterranean Sea.
「高名な依頼人」で、グルーナー男爵とヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢との出会いの場になった地中海のヨット船旅について考察する。船旅が何故地中海だったのかの理由と、始まりは何時頃からか、実際の船旅のスケジュールなどを地図等を用いて詳述する。更に、グルーナー男爵の乗った可能性がある船の候補も指摘する。文化的後進国であった英国は、17世紀からのグランド・ツアー等により、その文化を取り入れてきたことから、ヴィクトリア朝時代の文化の源は地中海である、と結論する。
    , ILLU, Sherlock Holmes - Great Hiatus


These articles are reprinted on this issue.

Saneyoshi, Tatsuo “Was Snake Poison Murder Possible? “The Speckled Band”” 實吉達郎毒蛇殺人は可能だったか?まだらの紐について」 WH No.1(1978),16-23p
 Suzuki, Toshio “Change of the Route to the Continent and the Game Theory”  鈴木利男「大陸行きのルート変更とゲーム理論」  WH No.1(1978),24-29p
 Tsuda, Masanobu “A Letter of Conan Doyle"  津田昌信「コナン・ドイルの手紙」  WH No.1(1978),30-33p
 Takata, Hiroshi “Mathematics Lecture for Sherlockians ? The Priory School”  高田寛「シャーロッキアンのための数学講座(1)プライオリ学校篇」  WH No.2(1979),3-11p
 Hoshida, Mamoru “Is Sherlock Holmes Left-Handed?”  星田守「ホームズは左利きか?」  WH No.2(1979),32-33p
 Takagi, Toru “How Junior High School Students Find Sherlock Holmes”  高木徹「中学生から見たシャーロック・ホームズ」  WH No.3(1980),32-35p




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